SIMロック解除とGoogle Project Ara

ブログ

日本のケータイがガラパゴスと揶揄されて久しいですが、そういえばProject Araというモジュール型スマホの方向性と、総務省の指導の方向性が絶妙に噛み合ってなくて面白いなぁと思っています。

SIMロック解除が最近熱いです。総務省がついに切れた感じですが、総務省の理論の根本は、顧客保護というより、日本のケータイ産業を保護する一つの方策を示しているように見えます。

SIMロック解除の条件などにはいくつか検討の跡が見えますが、結局、「高い端末を買ったら、長く使えるようにしましょう」という流れが見えます(非常に偏った見方だと言い切っておきます)。クーリングオフの話もそうですが、これらの仕組みは、基本的に、「高価で価値のある商品を購入したユーザーに対する施策である」と見ることが出来ます。

背景には、要するに現在の端末メーカーを含めたエコシステムを、メガキャリアだけが勝者となる歪んだ構造から脱却させたいという意図が見て取れます。

この方向性には一つ大きなメリットがあります。ハイエンド端末が一定数確実に流通する市場を維持できる可能性が高いということ。メーカーがハイエンド端末を作るモチベーションを維持できるし、そのハイエンド端末をターゲットとした、高機能なITサービスの成長する環境を維持できる可能性も高いです。

つまりは、総務省は今の市場を守るためにどうするかを考えている。あるいは、端末認定制度を含めた現在のエコシステムの維持を目指しているようにも見えます。

他方、Project Araです。Googleは端末をソフトウエア化して、自分たちが欲しい端末を、自分たちのコントロール下でいかに迅速に構築するか、その方法を模索しているようです。

Googleの新しいサービスが確実に動く、所謂「Google Playモデル」のような、キャリアに縛られない端末をより迅速に供給できる仕組みを作ることは、自分たちのサービスや収益モデルを維持する上では重要な要素です。これはある意味、究極のOTT戦略と見ることもできる。

これを比較的ソフトに実現しているのがAppleです。ただ、Appleは純粋なハードウエアメーカーとしての顔も持ち合わせているため、Project Araほどドラスティックな手法は取っていない。だけどその支配力とサービスをコントロールする圧力は、現在他のどんな企業体よりも強いものになっています。

Project Araがメーカーを壊すと言われている所以はこの辺にありますが、これが前述の総務省の方向性と絶妙に矛盾しているようで面白いです。端的に言ってしまえば、総務省が目指すのは、エコシステムの維持、Googleが目指すのは、エコシステムの再構築です。

ワイモバイルの新サービス発表に寄せて、そういえば気になっていたので、書いてみました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました